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東海道53次 4.加奈川(神奈川)
佐野喜版(1840)
「狂歌東海道」-横大判56枚揃物
彫師:松田寅藏 / 摺師:小州文彥
浮世繪之美 - vol.3104

保永堂版には「臺之景」という副題が付いていますが、狂歌入り版もその神奈川台と、そこからの入海の眺めを描いています。横浜村(緑色)、本牧の断崖(墨色)、三浦半島(灰色)の遠望が続き、帆掛船が遠近法を応用して並べられています。近場の海には、2艘の漁船と1艘の客船が浮いています。手前の街道には、左側に二階建ての台の茶屋、右側に葦簀張りの出茶屋が描写され、やはり、神奈川宿は神奈川台からの景色を楽しむ場所であることを物語っています。出茶屋では縁台に腰を下ろす2人の男、孫と遊んでいるように見える地元の漁師(?)、そして店番の女など、小さい画面ながら平和な様子が描かれています。街道を歩く旅人達を見ると、街道はやや右下がりの坂になっているようです。前掲『東海木曾兩道中懐寶圖鑑』にも、神奈川台の手前(江戸方向)に「上り坂」と記されています。

狂歌は、東海道の旅をいろは(道中)双六に見立て、双六の「上がり」と春雨の「上がり」を掛け、また、いろはの「仮名」と「かな(加奈)」川を掛けて遊んでいます。しかし、この狂歌の面白さが2つの掛詞だけと見ることには、何か物足りない気がします。なぜならば、敢えていろは双六を神奈川宿に持ってくる理由が説明し尽くされておらず、言い換えれば、広重が描いた台の茶屋からの風光といろは双六との関係が突き詰められていないからです。

「いろはのかな川」とは、仮名とかな(加奈)の掛詞以外に、いろはの3番目と東海道3番目の宿駅・神奈川とが掛けられています。または、上がりの京都に対して、まだまだいろはの振り出しに近い神奈川という対比もあります。さらに、「あがるもたのし」には双六と春雨が上がるという意味の他に、神奈川台(さらには台の茶屋)に上がり、その眺めを楽しむという含意があります。以上のように解さないと、狂歌と浮世絵との間の一体感が損なわれてしまいます。狂歌入り版を読み解くには、狂歌と浮世絵との関連性を意識することが肝要です。嶋田・前掲『広重のカメラ眼』は詳細な解説で大変有用ですが、残念ながら、まったく狂歌を意識していないようです。

双六の 旅もいろはの かな川に
あがるもたのし 春雨のうみ
松本亭等躬

歌川廣重(Utagawa Hiroshige,1797-1858)
《東海道五十三次》爲浮世繪大師歌川廣重成名作
描繪由江戶至京都的53個宿場
包含起點的江戶日本橋和終點京都内裏共56景

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浮世繪之美

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