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東海道53次 25.金谷
佐野喜版(1840)
「狂歌東海道」-横大判56枚揃物
彫師:松田寅藏 / 摺師:板倉秀継
浮世繪之美 - vol.3125

嶋田宿より遠江国に入ります。狂歌入り版の「嶋田」は大名行列の一行が嶋田から金谷に向かって川越しをしていました。保永堂版「金谷」も金谷側の川岸に到着する大名一行を描いています。したがって、狂歌入り版「金谷」も何となく大井川の金谷側に到着した様子を描いているように見えますが、川岸近くの川越し人足の動作を子細に見てみると、腕を伸ばして何かを受け取っているような仕草をしている人足達が複数います。人足は川札を渡河の前に客から貰い、渡河後その札を札所で現金に換えるのが原則です。したがって、上掲作品はその川札の遣り取りを描くものと想像されるので、金谷から嶋田への川越し風景を描くものと考えられます。とすると、先の人足達の後ろで武家に平伏している2人の男は、おそらく、川会所の役人が大名一行を見送りに来て挨拶をしている情景でしょう。川岸に乱雑に置かれた輦台は、これから駕籠、人、荷物を積み込む準備のために組み立てられた輦台を一旦解いたものと推測されます。広重の綿密な観察とスケッチがあっての作品です。

狂歌は、「雲と水とに」身をまかせるの意味がやや難しいと言えます。ただし、「雲」に関しては「箱根」の狂歌に「雲ともいへる」とあって、山駕籠あるいは駕籠舁きのことと分かります。そこから推察すれば、「水」は川越し人足であると想像できます。つまりは、旅人が自分の身を駕籠舁きと川越しの人足に任せたという意味になります。ところで、その旅人は具体的に誰なのかは、「旅ごろも」という言葉から判断することになります。ここでは、およそ一般の旅姿の人ではなく、漂泊の僧侶と考えられます。なぜならば、雲と水を合わせた「雲水」は漂泊の僧を指す言葉だからです。狂歌は「水」という言葉によって、大井川の川越し風景と川越し人足に注意を向けています。したがって、広重の絵も大名行列の川越しというよりは、それを手伝う川越し人足に視線を送って細かく描写しているのだと思われます。

大井川 渡る金谷に 旅ごろも
雲と水とに 身をまかせけり
関口俊吉

歌川廣重(Utagawa Hiroshige,1797-1858)
《東海道五十三次》爲浮世繪大師歌川廣重成名作
描繪由江戶至京都的53個宿場
包含起點的江戶日本橋和終點京都内裏共56景

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浮世繪之美

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