葛飾北斎-九段牛ヶ淵
くだんうしがふち
(創作年代:1804-1806)
浮世繪之美 - vol.1179
葛飾北斎は、江戸本所に生まれる。
その作画領域は極めて広く、
独特の高い芸術性を示しているが、
寛政末頃から亨和頃にかけて西洋画の技法を取り入れた、いくつかの風景版画を描いている
。
この画は画題と落款の平仮名文字を横に寝かせて、
左書きにし、
画面に入れたシリーズの最も代表的なものの一つである。右側の黄土色の急な坂は九段坂で、
かっては”九段”のゆるやかな段がついていたという。
この坂道に面して石垣と長屋塀の武家屋敷があり、
坂道には人や家々などの陰が描かれている。
その左の濃緑色の崖はさらに高く誇張し
、画面の左半分は、
はるばると遠景を見通す変化に豊んだ
斬新な構図となっている。
この画の特徴は樹木や崖に描線を用いず、
陰影をつけて立体感を表わそうとしているところである。
左の崖は上方が千鳥が淵、下は牛が淵、
その中間を左に入る道は田安門に続き、
現在は武道館への入口となっている。
空には夏雲がもくもくと湧き上がっていて、
すべてが目新しい西洋風の写生的空間表現となっている。
葛飾北斎(かつしかほくさい,1760-1849)
江戶時代末期浮世繪大師
葛飾北齋多才多藝
作品涉獵版畫、水墨、染畫、圖書插畫
以浮世繪《富嶽三十六景》
《北齋漫畫》為其代表性作品
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