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東海道53次 35.吉田
佐野喜版(1840)
「狂歌東海道」-横大判56枚揃物
彫師:遠藤光局 / 摺師:栃木義郎
浮世繪之美 - vol.3135

豊川の河畔にある吉田城とその豊川に架かる吉田橋を描く、吉田宿の典型的構図です。奥三河、熱田・伊勢との舟運の拠点として発展した湊町でもあります。したがって、筵を掛けた船が何艘も描かれているのは自然です。近景に描写される吉田橋は、矢矧橋、瀬田唐橋と並ぶ、東海道3大橋の1つで、前掲『東海木曾兩道中懐寶圖鑑』「吉田」には、「長百廿間」(約216m)と記されています。東海道を江戸から上ってくると、最初の大橋ということになり、吉田宿のランドマークとして浮世絵の定番要素となります。

ところで、橋上には、3人の盲人(座頭?)と2人の瞽女が擦れ違う様子が描かれており、この人物表現は気になります。嶋田・前掲書(p240)は、座頭の一行は琵琶法師と見ているようですが、琵琶と三味線を持って門付けする諸国遍歴の旅人がなぜ吉田橋の上にいるのでしょうか。保永堂版を始め、その他の広重作品では大名行列か武家の一行が描かれることが多いのですが…。大橋に大名行列を描くのは、安全な川越しと橋の長さを強調するのにちょうどよい題材という印象があります。同様に考えれば、盲人を橋上に描くのもやはり橋に関する何らかのメッセージがあるはずです。差別的な表現かもしれませんが、「盲人の川渡り」(北斎『北斎画譜』「盲人の川越」参照)という言葉があります。つまり、目の不自由な人が川を徒歩で渡るのが大変なことを揶揄する言葉です。逆に言えば、吉田橋のお陰で盲人も安全に川を越えることができるという含意があって、吉田橋をアピールする意図での表現かと思われます。前掲『東海道中膝栗毛 三編下』(岩波文庫p219以下参照)にも、座頭と弥次喜多との徒歩渡りを巡る事件が面白おかしく採り上げられています。

話が吉田橋の方に流れてしまいましたが、旅人にとっては、吉田は大勢の遊女(飯盛女)がいて、旅籠の2階から遊女が鹿の子の着物の袖を振る宿場として有名でした。こちらを題材にしたのが狂歌で、飯盛女のもてなしが「よし田」(「良し」と「吉田」の掛詞)とし、多少「しやくしづら」(杓子面)でもうまい酒が飲めるという戯れ歌です。「めし盛」と「しやくしづら」は、「飯」と「杓子」という縁語繋がりです。ついでに、「酒」も繋がりましょうか。

もてなしは いかによし田の めし盛や
しやくしづらでも うまくのむ酒
花垣市心

歌川廣重(Utagawa Hiroshige,1797-1858)
《東海道五十三次》爲浮世繪大師歌川廣重成名作
描繪由江戶至京都的53個宿場
包含起點的江戶日本橋和終點京都内裏共56景

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浮世繪之美

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