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東海道53次 33.白次賀(白須賀)-汐見阪
佐野喜版(1840)
「狂歌東海道」-横大判56枚揃物
彫師:松田寅藏 / 摺師:小川文彥
浮世繪之美 - vol.3133

白須賀の名所と言えば、狂歌入り版の副題にもなっている「汐見阪」です。白須賀宿は、元々は坂を形成する台地の下にありましたが、元禄年中(1688~1704)の津波によって流され、台地の上に移転しました(前掲『東海木曾兩道中懐寶圖鑑』「白須賀」参照)。本作品では、左手後方薪を背負って登ってくる人が描かれている奥側が「元しらすか」、茶屋がある手前側が白須賀のある方向です。『東海道名所圖會 巻の三』(前掲『新訂東海道名所図会中』p149)には、「汐見坂 白菅の東の坂路をいう。眼下に滄海を見れば、汐見阪の名あり。いわゆる遠州七十五里の大灘(だいなん)、眸(まなじり)に遮り、弱水三万里の俤あり。渚の松は緑こまやかにして、沖にこぎつれる漁舟は、雲の浪にみえかくれ…」とあり、本作品はその景色を写したかのようです。

さて、茶屋では子供を背負った女が湯を沸かし、旅人は名所の風光を楽しんでいます。その内、手前の縁台に腰掛けて顔を上げる旅人は、手元に何かを持っているように見えます。これが白い紙ならば、スケッチを撮っている広重かもしれませんし(嶋田・前掲書p229)、浮かんだ狂歌などを記している狂歌師なのかもしれません。いずれにしろ、作品を見る者を画中に引き込むアイコンであることは確かです。茶屋の後方に鳥居と幟、そして2つの祠が見えています。汐見坂の手前に観音坂があるので(須原茂兵衛等再刻『五海道中細見記』安政5年・1858参照)、道中安全を守る観音の祠なのかもしれません。

狂歌は、単純に「さるが馬場」にある名物「かしは餅」を詠み込むものです。前掲図鑑を参照すると、白須賀宿の西側に遠江国と三河国の境をなす境川があって、その東側に「猿が馬場」が見つかります。その脇に、「名物かしはもち」と記されているので、狂歌はこれを詠ったということでしょう。前掲図会(p148)には、「左右原山にして、小松多し。風景の地なり」とあり、おそらく、保永堂版「二川」の「猿ケ馬場」の着想は同図会から来ていると思われます。しかし、狂歌は、「さるが馬場」の「かしは餅」は二川ではなく白須賀にあって、猿が馬場に引っ掛け、猿が人真似するように、私も、そして誰もが真似て食べたくなる地元名物だと強調しています。保永堂版がその典型ですが、猿が馬場の柏餅を二川で描くのは、白須賀の汐見坂の風景がどうしても外せない程の名所だからです。

人真似に 我も喰はなん 白須賀の
さるが馬場の このかしは餅
繁廼門雛昌

歌川廣重(Utagawa Hiroshige,1797-1858)
《東海道五十三次》爲浮世繪大師歌川廣重成名作
描繪由江戶至京都的53個宿場
包含起點的江戶日本橋和終點京都内裏共56景

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浮世繪之美

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