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東海道53次 28.袋井
佐野喜版(1840)
「狂歌東海道」-横大判56枚揃物
彫師:堀田治 / 摺師:品川勝夫
浮世繪之美 - vol.3128

袋井は、東に掛川、西に見付の大きな宿場があったので、東海道を旅する者は主に休憩に利用したと言います。しかし、法多山(はったさん)・可睡斎(かすいさい)・油山寺(ゆさんじ) の遠州三山への追分宿として大勢の参詣客を迎えるという側面もありました。前掲『東海木曾兩道中懐寶圖鑑』「袋井」に「東あらや」とあり、「可睡斎 油山やくし道」の記載があるので、今までの広重の手法を念頭におくと、宿場の手前のこの辺りが作画のポインになるのですが…。他方で、画中の右手に描かれる家々が袋井の宿場ならば、宿場の西側にある1軒の農家を基点にして、東海道とその松並木、敷地の杉などを写し、袋井を特徴づける丘に囲まれる田園風景を描写していると考えられます。

農家の前では街道を使用して、男が筵(むしろ)に何かを干しており、また子守の女が大量の荷物を背負う馬を牽く馬方と話をしています。保永堂版は副題「出茶屋ノ圖」であり、西側の棒鼻辺りでやかんを掛けた竈(へっつい)からモクモクと煙が立つ滑稽な構図でした。これを茅葺きの農家に替えたことに特別な意図があるとするならば、やはり、筵に注目すべきではないでしょうか。なぜならば、『東海道名所圖會 巻の三』(前掲『新訂東海道名所図会中』p219)に、「名産花筵 沓部村の名物として、花筵を織りて諸国へ賣う」とあり、広重はこの農作業姿によって、袋井の名産花筵を暗示していると考えられるからです。

狂歌は、せんべい蒲団に寝かされた宿泊客が不満顔でふくれる様子を詠い込むものですが、前掲「掛川」の狂歌の「吹」が「袋井」の頭韻を踏んでいることを思い起こすと、本狂歌の「ふくれる」がやはり次の「袋井のやど」と頭韻を踏んでいることに気付きます。また、あえて「せんべいのやうな蒲団」と表現するのは、「客のふくれる」と対立させるための技法です。つまり、薄いと厚いという対立表現です。さらに、深読みすれば、袋井の宿(やど)の蒲団がせんべいのようなのは、薄い筵が袋井の名産品だから仕方がないことなのかもしれません。

せんべいの やうな蒲団を きせられて
客のふくれる 袋井のやど
豊林堂鄙住

歌川廣重(Utagawa Hiroshige,1797-1858)
《東海道五十三次》爲浮世繪大師歌川廣重成名作
描繪由江戶至京都的53個宿場
包含起點的江戶日本橋和終點京都内裏共56景

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浮世繪之美

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